ポップスPOP音楽CD

最近では、Utadaの比喩に使われたり、『恋のから騒ぎ』に使われたりで
若い人たちにも認知されてきたようですね。うれしいことです。
彼女の不思議な世界、表現力をじっくり味わえる作品ですので
高い!!と思わず入手してください。

それにしても、なんてセーラー服と扇子とバラの花が似合うんでしょう。こんな人、他にいないよー。
ちなみに、このアルバムタイトルの元になったカポーティのエッセイもあわせて読むことをお勧めします。（日本語訳が出てるかどうかわかりませんが）ブラックなジョークなんですが、なぜかこのアルバムに不思議とマッチします。
最高傑作！
何の予備知識も無くジャケ買いした作品です（現在とはジャケ写が異なる）。
私が初めて聞いたMarcの作品であり、この作品で以降約１０年、彼にドップリとハマっています。
今作では、弦楽器・管楽器・打楽器の「生」の響きを活かした極力シンプルなアレンジで

独自の世界観を描き切っています。「英国」というワクを離れ、ある種無国籍な作風に仕上がっています。
この作品には、駄曲・捨て曲が一切存在しません。全曲お気に入りです！
１の「Mother Fist」は、アコーディオンによるノスタルジックな旋律からいきなり妖しい世界に引き込まれます。私は勝手に３０年代のヨーロッパを想像してしまいます。
２の「There Is A Bed」は強弱が変化する打楽器群、柔らかいフレーズの管楽器が、優しくもどこか寂しげな印象の曲です。
３の「Saint Judy」は倦怠的な曲調のキャバレーソングで、彼のこの種の作品では最も優れた曲の一つだと思います。終始流れる管楽器の音色が退廃的な雰囲気を強調しています。
４の「Room Below」は低いピアノの調べと、哀しげな歌声が美しい曲。

６の「Hustler」はハスラーの物語でしょうか。ピアノと管楽器はあくまで静かに寂し気に、しかしMarcの歌唱は徐々に熱を帯びていきます。
７の「Melancholy Rose」はシングルカットされたキャッチーなメロディの曲。疾走感がありダンサンブルながらも、このアルバムらしく、どこかクラシカルな響きのある不思議な曲です。
８の「Mr. Sad」は３よりは激しい曲調のキャバレーソングで、Saxが吹き乱れ、後半はMarcの情熱的な歌が盛り上がっていく。
９の「Sea Says」は。巧みに使い分けるファルセットと地声、清流が流れるが如き透明感あるバックの演奏が相俟って、幻想的な雰囲気を醸し出している。

１０の「Champ」こそ、私が最も好きな曲の１つです。物悲しげな弦楽器に導かれて切々と歌うこの曲、本当に心に染み入る名曲です。某誌上にて「東欧ーババリア地方の民謡のようだ」と評されていました。確かにこの作品自体、私には英国というよりは東欧風という感じがします。海外のファンサイトの人気投票で１００位中、７１位だったのにはガックリきましたが。
１１の「Ruby Red」は今作で最もアップテンポで、適度な速度が心地よい佳曲。
１２の「The River」は、曲調はリズミカルでドラマティックだが、光り輝くように美しく、且つ透明感あるピアノ・弦楽器の為、非常に「静的」な印象を持つ名曲。

代表曲「BORDERLINE」寄りな雰囲気プラス「INTO THE GROOVE」に通じるノリの＃01「CRIMES OF PASSION」は、「編集ミス？」と思われるような性急な始まりなのがちょっと気になります。＃04「LAUGH TO KEEP FROM CRYING」はINXSを彷彿とさせるような奔放な歌い方とリズミカルなギターがクセになりそうな佳曲です。
＃02.＃07「EVERYBODY」＃03.＃06「AIN'T〜」共に'97及び'81が収録されていますが、カッチリしたアルバムヴァージョンと比べてルーズな雰囲気。違いをダイレクトに楽しめるのではないかと思います。大好きな曲である「BURNING UP」はフェードインで始まる戦法（＾＾　で、オリジナル同様のグルーヴが既に備わっている感じです。＃08「STAY '81」のみ曲の輪郭が見えてこないのですが、これはこれで面白いです。